七里田発泡のブログ

放置気味です

遠藤憲一の怪演が超必見の映画 『ビジターQ 』(2001) 三池崇史監督

はじめまして。


こちらのブログはこれまでに見てきた映画やアニメの感想を書き連ねていくブログとなっております。忘れっぽい性格のため自分用の備忘録としてもこのブログがうまく機能すればいいなぁと考えています。

さっそくこの前見た映画の感想記事を掲載。
先日見た映画は

 

三池崇史監督 『ビジターQ』。


 

 


個人的には三池監督作品って、見終わった後にえ、何これ?」といったような感想を抱くことが多いです。呆気にとられると言いますか、例えるなら豪速球のストレートが突然繰り出されるようなイメージです。

最近はヤッターマン」 「忍たま乱太郎」 「テラフォーマーズなどのアニメや漫画原作の作品を監督することが多く、よく某掲示板などで批判されることが多いのですが、オリジナル作品においても個性的で尖った作品が多く、クエンティン・タランティーノ監督やイーライロス監督に影響を与えたと言われており、国内に比べると海外での評価の方が高い映画監督です。

彼の作家性はズバリ『エロ・グロ・ナンセンス』

 

近々取り上げる予定の『殺し屋1』 『極道恐怖大劇場 牛頭 GOZU』のようなクセの強いパワフルな作品が多いです。

 

 

しかし、この『ビジターQ』という作品においては暴力描写は控えめ(彼のこれまでの作品と比べて)でその削がれた暴力描写の余剰スペースにエロとナンセンスをぶち込んだような作品になっています。

 

 

・キャスト
 山崎清遠藤憲一
 山崎恵子:内田春菊
 秀臣:渡辺一志
 村田麻子:中原翔子
 山崎美貴:不二子
 山崎卓弥:武藤洵
 佐々岡:鈴木一功


主演は最近はドラマやCMでひっぱりだこの遠藤憲一さん。
おっさんずラブ』の影響からか最近は特にいろんなところで見かけるようになったような気がします。『援助交際撲滅運動』や『集団殺人クラブ』のイメージがあるから『ドクターX』でのキャラに違和感が(笑)

ともあれ、簡単にあらすじを紹介します。

ニュースキャスターを降板させられた山崎清。彼の家庭は今や崩壊状態。娘は家出、息子は家庭内暴力、妻の身体は息子の暴力とクスリでボロボロ。そして自分は再起を期して援助交際の実態をドキュメンタリーに撮るつもりが、思わぬ展開に…。その帰り道、山崎は背後から頭を殴られ記憶をなくす。そして一人の若者を連れて帰ると家族に対して彼を友人と紹介、自分の家に住まわせる。翌日、山崎は出勤途中で息子がいじめられている現場に遭遇。それをテーマに迫真のドキュメンタリーを撮ることを思いつくが…。

(参照サイト)http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=233951

映画冒頭から実の娘とホテルで援助交際をしている本作の主演である遠藤憲一が映し出されます。この時点でぶっ飛んだ映画ですよね。

けどこのぶっ飛び具合はまだまだ序の口なんです。

遠藤憲一が駅のホームで電車を待っていると後ろの窓にいた謎の男が窓をガラガラと開き、遠藤憲一の頭上に石をゴツンッ!!。その後、何故かそのままその男と仲良くなってしまい自宅に滞在させてしまいます。謎の人物を家に招き入れてしまったそんな彼の家庭は画に描いたような機能不全家族っぷりで、いじめられっ子の息子は家では母親に暴力をふるいまくるわ母親はクスリと息子からの暴力で身体中ボロボロ、娘は援助交際で得たお金で家出生活といった酷い有様。

 

 

 

夕食のシーンなんて、目の前で自分の妻が息子にDVされているのにそんな酷い環境を客人(?)に対して隠そうともしない崩壊しきった家庭の中で主人公は知らんぷり。そして何食わぬ顔でこの謎の男は飄々とご飯のおかわりを要求するという顔の面の厚さを披露。

 

うーむ。この映画のストーリーってあって無いようなものなんですよねぇ。
恐らく三池監督が撮りたいシーンを脊髄反射で撮ったような映画だと思いますので突っ込みどころは満載。気にしたら負けです(笑)

個人的に印象に残ったシーンを箇条書きにしてみますね。
 

  • 謎の男が母親のおっぱいを揉むと突然物凄い量の母乳が出るようになる。

  • 死体を解体しようとしていた遠藤憲一が突然性欲が喚起され、死体から出たウ○コにキレながら死姦。

  • 死後硬直で局部が抜けなくなった遠藤憲一が大量のお酢の風呂にクスリを打たれながら入浴。

  • クスリを打たれて興奮状態の遠藤憲一が息子をイジメていたイジメっこの脳天にノコギリを振りかざしギコギコ(コメディタッチで撮られているのでグロくないです)

  • 母親が母乳まみれにしたキッチン(母乳プール)の床の上でうつ伏せになり謎の男に感謝をする息子。

  •  

三池監督!!ぶっ飛びすぎでは!??

 

この映画、苦手な人はトコトン苦手だと思いますし、クソ映画と非難されても反論ができない映画です。けど私個人としてはこの映画のラストシーンが凄い気に入ってしまいました。
このラストシーンと演者達の怪演だけでも一見の価値はあるかと。

 



問題のラストの内容はといえば、もう唖然の一言
こういうオチの付け方があるのかと思わず膝を叩きましたよ。
詳細は省きますが、歪な家族愛の究極の形とでも言いましょうか。崩壊していた家族関係が来訪者である謎の男によって再生していき、そして完成するというラスト。

そこで流れ始める主題歌『水のあぶく』が凄く良いんですよ。
美しさの中に不気味さを内包しているメロディーラインとボーカルの声が良い!!

良かったらぜひ聴いてみてください↓↓

 

 

 



この『ビジターQ』という映画ですが日本では知名度がかなり低いためTSUTAYAでレンタルしようと思っても地方では取り扱われていないかもしれません。さーっと映画紹介系のyoutuberが紹介していないかなぁと検索かけてみたのですが残念ながら見当たりませんでした。(外国youtuberの方の何人かは本作のレビュー動画を投稿されていました)

 

ヨーロッパでは日本よりも知名度が高いらしく、『ホステル』や最近だと『グリーンインフェルノ』などを監督した世界的に有名なホラー映画界の鬼才、イーライロスが絶賛した映画です。以下URLの彼のインタビュー記事内で『ビジターQ』のことが触れられていますのでよろしかったらぜひご一読ください。

『ホラーの帝王に直撃。『クラウン』製作のイーライ・ロスにインタビュー』h.nicovideo.jp/kotaku/blomaga/ar757233


三池監督作品は本記事の冒頭あたりで述べたように、特にゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』、『極道恐怖大劇場 牛頭』、『DEAD OR ALIVE 犯罪者』などがそうなんですけど。ラストのオチが嘘だろ!?っていう作品が多いので少し警戒していましたが、このオチは素敵(?)だと思いました。ゼブラーマン ゼブラシティーの逆襲』を映画館で見た時にはカップルとか気まずそうにしてた記憶があります(笑)

これまで好意的な感想を挙げてきましたが、ちょっとこれは良くなかったかなぁという点を挙げていきます。ワンカットが長く若干間延びしている印象を受けました。アクション映画のように画を目まぐるしくカメラを動かしたり、細かくパッパッとカット割りしろというわけではないんですけど、そこの場面でそんなにたっぷり尺を割く理由あるの?みたいな場面が散見されたように思います。

予算は無いけど映画というパッケージにしないといけないから時間を無理やり引き伸ばしたのではないかなー。(失礼)調べたところ実際700万円程の予算で作られているみたいで、スタッフはどうやら映画学校の生徒をバイトで雇ったとか。

個人評価は5.8/10

この映画気にしてはいけないと思いつつもストーリーに色々と気になる所があって視聴後はモヤモヤしてしまうんですよね。あと先述したようにエキセントリックなシーン以外は少し退屈してしまいました。以上のことからちょっと厳しめの評価。

けどぜひ一度はご覧いただきたい映画です。

 

イジメっ子の脳天をノコギリでギコギコする遠藤憲一

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