七里田発泡のブログ

放置気味です

デヴィッドリンチがヤクザ映画を撮影したら…… 極道恐怖大劇場 牛頭 (2003) 三池崇史

 

・あらすじ

宇廻組の構成員南(曽根英樹)は、兄貴分の尾崎(哀川翔)をこよなく尊敬している。しかし、チワワを見ればヤクザを襲うヤクザ犬だと言い張ったりするなど、最近の尾崎には奇行が目立っていた。そんな尾崎を疎ましく思った宇廻組の組長は、尾崎には内緒で、彼を名古屋の処分場に連れて行くよう南に命じる。しかし、名古屋への道中に悲劇が起きた。またもや錯乱した尾崎を取り押さえようとした南は、あやまって尾崎を殺してしまったのだ。しかも、途方に暮れた南が組長に電話している間に尾崎の死体が消える。見知らぬ名古屋の街で、尾崎を捜すべく奔走するうちに、少しずつねじれた世界に取り込まれていく南。手がかりのないまま迎えた二日目の深夜、ふと南が目覚めると、目の前には地獄にいるという牛頭人身の極卒”牛頭”が立っており、差し出した手紙には、死んだはずの尾崎からの「処分場で待つ」というメッセージが残されていた。次の日、処分場に駆けつけた南は、それまでの体験さえもかすむような、信じられない体験をする-。

 

(クロックワークス公式サイトから引用)

 

 

・キャスト

曽根英樹
哀川翔
吉野きみ佳
火野正平
冨田恵子
曽根晴美
川地民夫
木村進
間寛平
加藤雅也
小沢仁志
遠藤憲一
小沢和義
山口祥行
長門裕之
石橋蓮司
丹波哲郎

 

 

 

 

まずはじめにこの映画、問題作です。ストーリーも登場人物達の行動も何一つ意味が分からないのが逆に凄いです。唯一まともなのは主人公だけで彼の周囲にいる人間はヤバい狂人ばかりで振り回されっぱなし、理不尽、理不尽、理不尽な展開のオンパレードで主人公が可哀想に思えてきます。

 

冒頭は喫茶店で行われているヤクザの会合のシーンから始まり、組員の哀川翔が組長に「外の犬、あれはヤクザを殺すために訓練されたヤクザ犬です。殺られる前に殺っちまいましょう」と卒然耳打ち。そのまま店を飛び出した哀川翔は飼い主であるおばさんの手からチワワを乱暴に取り上げ、地面に叩きつけ、ぶん回し、ガラスの壁に投げつけます。そして画面の上から真っ赤な血が垂れ、物語の幕が上がります。

 

しょっぱなから三池監督飛ばしすぎでしょ。エンジンフルスロットル状態でスタートしたこの映画ですが、哀川翔ファンには溜まらない珠玉の1作。

 

ヤクザを殺すために設計されたヤクザカーに追われ怯える哀川翔や、穴あきパンツをプレゼントする哀川翔。しょーもない死に方をする哀川翔や女体化した哀川翔、美しい妖艶な女性のアソコからヌルヌルした状態で産まれてくる哀川翔など、いろんな哀川翔が楽しめます。(但し出演時間は短い)

 

↑劇場版呪怨2酒井法子から産まれてくる伽椰子のようですね。

 

名古屋の処分場に向かった主人公は死んだはずの哀川翔が車からいなくなったため、名古屋にしばらく逗留し捜索をすることになるのですが、哀川翔のような激ヤバ人間にたくさん遭遇することに……。主人公は神の見えざる手によって望んでもいないびっくり激やば人間観察ツアーに強制参加させられてしまうのです。

 

母乳を意地でも飲まようとする旅館の女将

 

ブリーフ姿の謎の牛男(申し訳程度の牛頭要素)

 

ヤクザホラー映画というか、シュール不条理ギャグというか漫画太郎チックな世界観をひたすら2時間以上見せつけられるという観客に対しても理不尽な映画だなぁと思いましたね。それにしてもよくこの内容で予算がついて、これだけ豪華な俳優が集まったなぁ。いやほんとに。

 

キャチコピーは「もしもデビッド・リンチが任侠ものを撮ったら」らしいですが、絶対デヴィッドリンチはこんな風に撮らないだろと思わず突っ込みを入れたくなります。明らかに三池監督の作風ですよこれ(笑)

 

好きな人はトコトン好きかもしれませんが、自分にはあまり合わなかったかなぁ。私は前回取り上げた三池監督の『ビジターQ』の方が好きですね。

 

 

個人評価 3/10