七里田発泡のブログ

放置気味です

神は無謬なのか? 神様ゲーム 麻耶雄嵩 ネタバレレビュー

 

 

 

 

今回はネタバレレビューになりますので『神様ゲーム』を知らない方はまずは上の記事をご覧ください。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・あらすじ

神降市に住んでいる小学生の黒沢芳雄は、同級生たちとともに市内で起きる猫殺しの解決に乗り出す。ある日、芳雄は同級生の鈴木太郎と言葉を交わす。彼は自分が全てを知ることの出来る神だと言い、猫殺しの犯人を芳雄に教えるのだが……。

(wikipediaから引用)

 

 

 

以下後半の内容ネタバレになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友人、英樹を殺した犯人が誰かは分からないが罰を与えて欲しいと鈴木に頼み込んだ主人公の芳雄。それを了承する神様の鈴木。学校の時計台の大針が落下し、その下にいたある人物は大針に貫かれ絶命します。神からの天誅が下されたのは芳雄の少年探偵団の仲間であり、想い人であったミチルでした。

 

そして猫殺しの犯人である秋谷も逮捕されたこと。そして母に自分は本当に両親の子供なのかと直接質問し、明らかに狼狽えた様子の母の姿を見て芳雄は確信します。鈴木太郎は本当に神様なんだと。

 

しかし芳雄はミチルの単独で今回の殺人事件を隠ぺい工作を行うには不可能な点があるため共犯者がいたのではないかと推測。鈴木に質問します。鈴木はあっさりと共犯者はいると肯定。ミチルと同様に共犯者に罰を下して欲しいと依頼します。芳雄は、家に帰り両親にケーキを買って欲しいとお願いし、ケーキに蝋燭の火をともしてもらいます。

 

今日が鈴木から教えてもらった本当の誕生日で、蝋燭がいつも両親から祝ってもらっている毎年の誕生日に蝋燭の火が必ず1本消えないのはその日が本当の誕生日ではなかったからだと考えていました。

 

そして、自分の誕生日を内心で祝いながら今回の事件の共犯者は刑事である自分の父親だという推理を展開します。

 

少年探偵団のみんなで英樹の遺体を見つけた時、犯人であるミチルは刑事でり共犯者でもある芳雄の父親に連絡するよう提案しました。これにより父親の犯行時の足跡を隠滅することが可能になるからです。他にも刑事である父親であればこれまで起きた不可解なことの辻褄が合います。

 

しかし芳雄が蝋燭の火を吹き消した時、信じられない出来事が目の前で起こります。蝋燭の火が母親に燃え移ってしまったのです。父親は母に燃え盛っている火を消そうと慌てています。

 

どうして、母親が。

 

そして芳雄は思いました。神様は間違えないと。

 

 

 

 

仔細は違うかもしれませんが後半のおおまかなスト―リーは上記のようになっております。共犯者が父親であれば確かに納得がいくんですよね。芳雄の推理は大変鋭く、ふむふむなるほど確かに(思考放棄)といった風に読み進んでいって最後にまさかの犯人が母親であることを天誅という形で表現し、ひっくり返すとは……。誰が犯人なのかというフーダニットを完全に排除し、ホワイダニットハウダニットさえも最後に投げたこの結末はまさしくアンチミステリー。

 

一応、探偵団本部でエッチしているところを見られた動機はありますが、母親と少女の同性愛ってそれが本当に真実なのか?でも神様がそう言ってたし、でも鈴木って本当に神様なのかね。いやいやまぐれで猫の殺人犯当てたり、たまたま事故でミチルちゃんが死んだとは思えないし……

 

こういった形で読者である私たちも自称神様の鈴木に踊らされ、そしてこの作品の創造神である麻耶雄嵩の掌の上でコロコロ転がされるわけです。

 

神は無謬であるため、神から告げられる真実にも誤りがないとすれば芳雄はあまりにも悲惨で残酷な真実を突き付けられたことになります。新任教師は不倫をし、好きな戦隊シリーズに出てくる俳優が轢き逃げで捕まり、両親は本当の両親ではなく、母親は犯罪者。しかも自分は36歳になると飛行機の事故で死ぬんですから。

 

神様は間違いないのだからどうあがいても36歳で何らかの形で飛行機事故に巻き込まれてしまうのでしょう。

 

神様ゲームは神様の暇つぶしゲームに芳雄という1人の少年が犠牲になったという残酷な話です。そんな話を児童向けの書籍として売り出すなんて正気ですか!?