七里田発泡のブログ

放置気味です

ターミネーターと遊星からの物体Xオマージュ? 王道B級エンタメ映画 『ヴァイラス』(1998年)

たまには王道B級エンタメ映画も見らねばと思いまして、子供の頃に確かお昼ごろにテレビで放送されていた『ヴァイラス』をU-NEXTで久しく視聴しました。

 

 

・キャスト

ケリー・"キット"・フォスター : ジェイミー・リー・カーティス
ティーブ・ベイカー : ウィリアム・ボールドウィ
ナディア: ジョアンナ・パクラ
ロバート・エバートン船長: ドナルド・サザーランド
J・W・ウッズJr.: マーシャル・ベル

 

・あらすじ

宇宙の彼方より知的生命体が電磁波の形で宇宙ステーション「ミール」を襲い、そこから海上のロシアの衛星探査船ボルコフ号に突入した。その生命体はデータベースから人間という生命体を調べつくし、人間を「絶滅すべき敵」=ヴァイラス(ウイルス)とし、出した答えは「人類抹殺」。そして生命体は人間の身体のパーツを自らの動く手足に改造し、人間と機械の融合体にしようとしている。 その頃、運搬船シースター号の船長であるエバートンは台風で積み荷を失い、全財産を失ってしまった。失意の底に落とされたエバートンが自殺しようとした時、シースター号のクルーがボルコフ号を発見する。エバートンとそのクルー達は、ボルコフ号をロシア政府に引き渡すことで合法的に莫大な報酬が得られることを知り、ボルコフ号を再始動させる。この船に何が潜んでいるのかも知らずに…

wikipediaから引用)

 

 

 

難破船の中に潜入するゴーストシップ的な序盤と宇宙からの知的生命体が機械の肉体を得て、人間の肉体を部品として取り込みバイオメカノイドへ変貌を遂げるという遊星からの物体X的なホラー展開、そして最終的にはターミネーターのようにマシンVS人間のドンパチパニックアクションに転ずる贅沢なストーリー構成なのですが……

 

う~む。製作者達のやりたいことやりまくっている感じは伝わるが過去大ヒットした映画の上澄み部分を抽出して混ぜたような薄味な印象を受けました。ストーリーが大味で薄いとは言いましたが、パニックムービーの王道展開を踏襲しているので決して面白くないというわけではなく、特撮技術も高度な技術が駆使されていて今見てもリアリティーがあり見ごたえはあります。

 

見ごたえはありますが王道ストーリーなので先の展開が読めてしまいく緊張感も薄れてしまうのが残念なポイントです。演出も至って平凡なので新鮮味も正直ありません。

 

↑主人公らが最初に遭遇するメカノイド

 

最初に登場するメカノイドの造形はマシンの中に人体が組み込まれているというおぞましい造形でインパクト十分だったんですけど……

 

 

最初に登場するメカノイド以外はほとんど外見が人間であるせいで怖さが大幅に損なわれています。最初はターミネーターとの差別化できていて面白い題材だと思っていましたが後半はメカノイドの設定をうまく活かしきれていない気がして興が削がれてしまいました。登場人物たちの行動についても理解不能な点がありモヤモヤしたものが残ります。特にエバートン船長というキャラの扱われ方は粗雑です。

 

彼は自身の金銭欲によってチームワークを乱したがため、部下から殴られたり、キレられたりするのですが、自身のプライドに傷がついたためかマシン達に「俺は有能だから役に立つぜ」と協力を申し入れ、さらにはエバートン船長はマシン達に「俺が船を操縦してアメリカだろうがどこでも連れていくぜ」といったような甘言を弄してマシン達に取り入り、自分だけ生き残ろうと画策します。

 

その前のシーンで既にコンピューターのディスプレイ画面を通じて『お前ら人間はヴァイラス(ウイルス)だ』と告げられたことから最早、生物として扱われていないことは自明の理なはずなのに、そんな相手と純粋に協力関係を結ぼうとする彼の行動は理解不能です。

 

そしてやはり、彼はメカノイドに改造されてしまい主人公達から手りゅう弾を取り付けられ爆発四散し非業の死を遂げるのでした。そりゃそうなりますよね(笑)

 

メカノイドエバートン船長ですけど、ほぼ人間のエバートン船長が襲ってくるので怖くありません。マシンと人間の融合体を映像で表現するにはなるべく人間的な肉感を排除すべきです。エバートン船長だなぁとそれとなく分かる程度に人間の部分を残した方が絶対に怖いはず。作中の知的生命体にとって人間はあくまで部品でしかないのですから。しかしながらウイルス扱いしている人間を部品として活用しようとする動機は何なのでしょう。

 

まぁB級映画なので頭を空っぽにして純粋にパニックムービーとして楽しむのがこの映画の正しい鑑賞の仕方なのでしょうけど、『遊星からの物体X』のような低予算でありながらも素晴らしいB級作映画はたくさんあります。

 

もう少し捻りが効いた脚本と凝った演出が施されていれば、さらに面白い映画になるポテンシャルは十分秘めていたのに残念。

 

個人評価 3.5/10

 

余談ですが、装甲騎兵ボトムズOPのワンカットとヴァイラスのパッケージ画像似てますよね。