七里田発泡のブログ

放置気味です

神様ゲーム 麻耶雄嵩

 

 

 

 

・あらすじ

神降市に住んでいる小学生の黒沢芳雄は、同級生たちとともに市内で起きる猫殺しの解決に乗り出す。ある日、芳雄は同級生の鈴木太郎と言葉を交わす。彼は自分が全てを知ることの出来る神だと言い、猫殺しの犯人を芳雄に教えるのだが……。

(wikipediaから引用)

 

 

小説はほとんど読まない私ですが、竜騎士07氏のアンチミステリーを主題としたPCゲームうみねこのなく頃にをプレイすることになり、プレイする前にアンチミステリーとは何か大まかに理解する必要があるのではないかと考え、麻耶雄嵩作品に触れる機会を得ました。

 

彼の作品の中でも神様ゲームはとりわけ短い文量でサクッと読めそうだなぁというのとアマゾンレビューでもレビュー数と評価共に高い数字だったという理由で購入。

 

読了後はあまりの衝撃的な結末に茫然自失としてしまいました。これがアンチミステリーかと得心が行きました。もっと多くの人に読んで私と同じ衝撃を味わっていただきたいのでネタバレはしません。とはいえ本作のことを多くを語ろうとすれば一番のお楽しみを奪ってしまう致命的ネタバレになりかねないので非常に難しい。神様ゲームに限らずもしかしたら推理小説というジャンル自体レビューするのが難しいという性質を持っているのかもしれませんが……

 

この作品には探偵役となるような存在は現れません。名探偵のような人間が証拠集めや調査、真理を追究することもありません。強いて言えば本作の探偵役?は神様を自称する小学生の鈴木太郎です。世界を創った神様の自分には全てのことが分かると彼は主人公に言い放ちます。彼が本当に神様なのかどうか試すため主人公は身近なことをあれこれ質問を投げます。

 

そして36歳の時に飛行機事故に巻き込まれて死ぬこと、両親は本当の両親ではないこと、新任の教師が不倫をしていることや話題の猫殺しの犯人は大学生の秋屋甲斐なる人物であることを伝えられます。

 

質問に対して帰ってきた返答が本当に正しいのかどうか精査する手段を小学生である主人公は持ち合わせていません。果たして鈴木太郎は本当に神様何でしょうか。そして彼の口から語られることは全て真実なのでしょうか。

 

ここまではネタバレじゃないかな。ここから先の話は怒涛の展開が待っていますのでぜひとも読んでいただきたい(圧力)

 

さて神様ゲームにで麻耶雄嵩の存在を知り、彼の他の作品を何作か読んで分かったことがあります。

 

彼は底意地の悪い作家だということです。(褒めています)

 

挑発的な作風とでも言いましょうか、推理小説のお約束に対して真っ向から喧嘩を売っていくスタイルとでも言いましょうか。彼の作品に至っては読者にとってフェアかアンフェアかという議題は些事なことなのでしょう。そのため麻耶雄嵩という作家の評価は毀誉褒貶が激しく、もしかしたら人によっては読了後、彼の本を床や壁に叩きつけたくなったりするかもしれません。私も『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』読了後は、もう何やこれって感じでした(笑)

 

 

結末に訪れるストーリーの収束のさせ方が他の追随を許さない彼独特の異質な手法でそこが魅力的でもあるんですけど、あまりにも癖が強い作風なので慣れが必要かもしれません。ストーリーの構成は恐ろしいほど練られていて、読み返して初めて気づく点も多く、素晴らしい才能を持った作家であることは間違いありません。オススメです。

 

神様ゲームを読んだ方はぜひ続編の『さよなら神様』も読んでみてください。麻耶雄嵩氏にしてはマイルドな作風かつ、かなり考え抜かれた構成の短編集となってます。

 

↓本作のネタバレ感想はこちら