学校の怪談G (1998) 良作揃いの短編オムニバス
学校の怪談シリーズ最恐は以前取り上げました『学校の怪談 春の呪いスペシャル』に収録されている『アサギの呪い』だと思っていますが、今回取り上げる『学校の怪談G』は4作品とも粒揃いの短編が収められており、恐怖演出や不気味さ脚本の上手さなどのトータルバランスはこちらの方が上回るかもしれません。
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第一話 『食鬼』 前田哲監督
まず主演の前田亜季が可愛い。そして木下ほうかが不気味。ストーリーは何か釈然としないですし怖いというよりは不思議とか切ないという感じの作品です。
登場人物の少年が取り憑かれたかのように食欲止まらなくなった理由とかも一切分からないですし、最後無理やりいい話風に纏めたような雑な印象を受けました。
咀嚼音(くちゃらー)が苦手な方は注意。無名時代?の木下ほうかも出演していたり、不気味な雰囲気は良くできている作品ではあります。
個人評価 4/10
第二話 『木霊』 黒沢清監督
網野成保原作の漫画『巨人真伝トキ』に収録されている『木霊』の実写化です。
『cure』の黒沢清監督に『リング』の脚本家の高橋洋さんという豪華タッグで製作された本作。
放課後の校舎で透視能力実験を行う男女5人組が謎の来訪者によって次々襲われていくといったストーリーなのですが黒沢清監督特有の静謐な恐怖演出がこれでもかというほど味わえます。
風に揺られる白いカーテン。壁に書かれた不吉な文字。効果音や幽霊による恐怖というより、雰囲気で怖がらせるタイプの作品が多く清水崇監督作品とは対照的です。
個人評価 8.7/10
第三話 『片隅』 清水崇監督
言わずと知れた今もなおJホラーを牽引し続けている『呪怨』の清水崇監督作品。『片隅』はオリジナルビデオ『呪怨』と関連している話ですのでぜひセットで見て頂きたい。
プロトタイプ版の伽椰子が登場するのですが、呪怨の伽椰子と違って「ア”ァ”ァ”ァ”ァ”」(監督の声らしい)のような掠れ声は出さず女性の呻き声?に近い声を出しながら襲い掛かってきます。
今となってはこちらの方が新鮮で怖い。
ストーリーは飼育係の女子高生がウサギ小屋に行って伽椰子に襲われるという何とも理不尽な内容。3分程度の短編作品のため最早、ストーリーは無いに等しく、恐怖演出に全ての力量を全振りしたような思い切った作品となっており必見です。
個人評価 8.5/10
第四話 『4444444444』 清水崇監督
これも清水崇監督で呪怨の俊夫くんプロトタイプバージョンが登場します。(ちょっと笑える)
着信音が鳴り続けているケータイ電話を拾い、電話に出てみると猫の鳴き声が……といった内容。
呪怨の俊夫くんはもうすでにほとんどの人がご存じだと思うので衝撃や恐怖感はあまりないですがこれ当時、初見の人が見たらびっくりしただろうなぁと思います。
それもそのはず全身真っ白でブリーフ一丁の少年が突然出てくるんですよ!?
いったいどこからそんなアイディアが生まれてきたのか謎です(笑)
個人評価 7/10
惜しむべきは『学校の怪談G』はDVD化されていないこと。
ホラー作品は特にDVD化されていないものが多いような気がします。
アマプラやU-NEXTで配信してくれないかなぁ。
学校の怪談G 総合個人評価 8/10
だんだんと暖かくなってきましたが気を緩めず新型コロナ感染対策に努めましょう。