七里田発泡のブログ

放置気味です

『あなたの知らない怖い話4』に収録されているPOVホラー 『ミテハイケナイモノ』

『あなたの知らない世界』を彷彿とさせるタイトルの『あなたの知らない怖い話』シリーズはオムニバスホラー作品です。

 

 

 

このシリーズぶっちゃけ言うと面白くありません。

Jホラーというより妙にグロや胸糞に頼りすぎていてストーリーも何か微妙なクオリティーのものがほとんど。

本当に暇で暇で退屈な人以外は新耳袋シリーズの方を見た方がとても有意義な時間を過ごせます。

ただ『あなたの知らない怖い話4』に収められている『ミテハイケナイモノ』はこのシリーズの中では珍しく面白かったので少し紹介したいと思います。

この話は『コリアタウン殺人事件』『屋敷神』のようなファウンドフッテージもので、立ち入り禁止となっている山奥に若者3人組が動画を撮影しながら足を踏み入れます。奥へ進んでいくと鳥居がポツンとあり、周囲の木々に怪しい謎の印とそして誰かの衣類がそのまま地面に散らばっているのを目にします。それ以降、次第に撮影者以外の2人の様子がおかしくなっていき半狂乱になったかと思えば急に押し黙ってしまい、木に頭を打ち付けそして姿が消えていきます。最終的には撮影者自身も突然手にしていたカメラを置いて、頭を木に打ち付けていき……それで終わり。

 

本作は神隠しを上手くモダンホラーとして昇華し表現することに成功していると思います。

 

古くから言い伝えられている伝承などでは山に子供だけで行くと天狗から攫われてしまうという話があったりしますが、天狗や正体不明の異形の存在、霊的な何かによって神隠しに遭うよりも、その禁止された土地に足を踏み入れることによって何かに取り憑かれ、あるいは祟られるという方が現実味があり生々しい怖さがあります。

何かに見入られてしまった撮影者以外の人物が突然理解しがたい木に頭を何度も打ち付けるという奇妙な行動を取り始めることにより、「仲間がいるから大丈夫」といった安心感を剥奪し孤立させるというアイディアも素晴らしい。

着眼点やアイディアが良かったため掘り出し物を見つけた充実感がありました。

レビューサイトでは低評価まみれの本オムニバスシリーズですが、総評としては確かに低評価ですが稀に光る作品が埋もれていたりするんですよね……。

個人評価 5.5/10