沖縄琉球放送が放つジャパニーズPOVの傑作!! 屋敷神 (2013年) 監督・脚本 又吉安則
2013年に沖縄琉球放送が毎年制作しているホラーオムニバスドラマ『オキナワノコワイハナシ(2013)』の第2話『屋敷神』は本シリーズ全体の中でもずば抜けたクオリティーの怖さを誇っています。POV短編ホラー作品ではこれ以上怖い作品は今のところ目にしたことがありません。
・キャスト
中村渠さえら
武田聖爾
taeko
大城たもつ
ハニーくらら
・あらすじ
未解決事件となっている「糸満市一家連続失踪事件」のビデオ再生すると購入予定の格安物件の内見にいく車中の映像が流れ始める。ビデオカメラを回しているのは失踪した一家の長男。いかにも沖縄然とした古民家の物件に到着すると感じのいい家主が迎えてくれ物件を案内してくれる。内見がザっと済んだところでユタ(沖縄版恐山のイタコのようなもの、いわゆるシャーマン)が「屋敷神がいらしてますので御願(うがみ)を致します」と儀式の準備に取り掛かるのだが……
POV(一人称視点)でストーリーが展開されていくファウンドフッテージもの。
短編作品ですがPOVだからこそできる恐怖演出がふんだんに盛り込まれており、アイディアに富んでいる。しかも『オキワナノコワイハナシ』というだけあって琉球文化もしっかり作品に取り入れられ、それがある種の異様な世界観構築を担っていることに思わず舌を巻きました。ユタが見た屋敷神は本当に屋敷神だったのか、異様なあの部屋は過去に何が起きていたのか、数々の謎は残されたまま一家の失踪事件の真相は闇に葬り去られていきます。
一家の平穏な日常がいつの間にか不条理かつ理不尽な世界に侵食され、これまでの全てを正体不明の何かに奪い去られる。
これぞまさしくホラーといったような作品。
ここ10年のJホラー作品の中でも屈指の怖さを誇ると思いますので評価はかなり高め。短編作品なのでお暇なときにぜひともご覧頂きたい作品です。
個人評価 9.5/10